看護師の残業がなぜ多いのか?
看護師は、人が足りなかったり、急に患者さんの体調が悪くなったり、勉強会に行ったりで、忙しい毎日を送っています。
このブログでは、そんな看護師の大変な仕事の理由を考えてみます。
看護師の残業時間、実際はどれくらい?
日本医療労働組合連合会看護職員の労働実態調査一覧│トピックス│医労連・日本医療労働組合連合会 医労連・日本医療労働組合連合会のホームページ。医労連の紹介、見解・方針等、各種調査結果、行事カレンダーなどを掲載しています。
2017年に日本医療労働組合連合会が行った調査で、看護師の残業時間にはいろいろなパターンがあることがわかりました。
この調査によると、残業を全くしない看護師は10%だけです。
5時間未満の残業をする看護師は22.2%、10~20時間未満が25%と、多くの看護師が月に数時間残業しています。
20~30時間未満の残業をする看護師が18.7%、30~40時間未満が11.7%という結果も出ています。
これは、看護師の仕事がどれだけ残業を必要とするかを示しています。
さらに、40~50時間未満の残業をする看護師が4.7%、50~60時間未満が2.1%、60~70時間未満が1.0%、70時間以上をする人も0.4%いるんです。
患者さんの緊急なケアや急な変化の対応、勉強会への参加などが、長時間労働の理由です。
看護師の残業時間はただ長いだけではなく、患者さんのケアの質を保つためや、自分の技術を高めるために長時間になってしまいます。
やっぱり看護師の残業が普通って変だよね。これじゃあプライベートもなくなるよ。
なぜ看護師の残業は多いのか?
看護師の残業が多い理由は、主に以下の要因によります。
- 慢性的な人手不足
日本全体で看護師不足が深刻化しており、特に地方や専門分野では、看護師一人あたりの患者数が増えています。これにより、通常業務に加え、緊急対応や患者ケアの質を保つための残業が増加しています。
看護師の多くが女性で、子育て中の看護師も多いため、子どもの急な体調不良で欠勤すると、他の看護師が患者を引き継ぐことになり、負担が増えます。 - 急変対応と緊急事態
看護師の業務は、予測不可能な急変や緊急事態に対応することも含まれます。
これらの状況は計画されたスケジュールを狂わせ、予定外の業務時間を必要とします。
急変した患者の介助により、通常の業務が遅れ、就業時間後に看護記録を行うことや、緊急入院の対応で仕事が終わらないことは珍しくありません。 - 看護記録と報告業務
高品質の医療を提供するためには、看護実践の一連の過程を記録する看護記録の作成が不可欠です。
患者に実践したケアやその反応、多職種とのカンファレンス、看護計画に対する評価など看護記録は多岐にわたり、勤務時間内にすべての記録を終了することが難しい場合が多いです。
また、患者の容態変化や訴えを医師に報告し指示を受けることも大切な業務のひとつです。
しかし医師が多忙で指示が出ないため、それ以降の業務が行えないこともあります。
内服や点滴投与、翌日の検査の準備等の指示が就業時間ギリギリに出ることで残業となってしまうこともあります。 - 研修と教育
医療は日々進歩しているため、看護師もそれに合わせて知識や技術をアップデートし続ける必要があります。
そのための研修・勉強会の参加は勤務時間外に行われるため残業となります。
また、病院によってはラダー教育制度を導入し、教育制度を整えています。
これはラダー(はしご)を登るように段階的に実務能力を高めていくための評価システムです。
このラダーを上るために必要な研修があったり、自身が勉強会を開催しなければならなかったりすることもあります。
看護師の仕事はとても忙しくて、残業が増えがちです。患者さんの安全を守ったり、しっかりケアしたりするため、そして看護師としての技術を高めるためには、残業はなかなか避けられません。
残業が多い科、少ない科はどこ?
残業が多い科【5選】
- 急性期病棟・集中治療室 (ICU)
急変対応や重症患者のケアが多く、予測不能な緊急事態への対応が必要です。
ただし、人員配置基準で2:1など配置基準が高い場合は受け持ち患者数が少ないので、残業が少ないケースもあります。 - 救急科
救急患者の受け入れや緊急手術など、急な対応が求められることが多いため、残業が増えがちです。
次の時間帯の勤務者にきちんと業務を引き継ぐ仕組みがあるのかは確認が必要です。 - 産婦人科
分娩は予測不能で、夜間や休日にも対応が必要になることが多いです。 - 脳神経外科
手術時間が長引くことが多く、患者の急変に対応するための時間外労働が増えます。 - 循環器科
心臓疾患患者の急変対応や緊急手術が必要になることが多いです。
残業が少ない科【5選】
- 健診センター・検査科
予約制で業務が計画的に行われるため、残業が少ない傾向にあります。 - 透析室
透析治療は予定通りに行われることが多く、時間外労働が少なめです。 - 皮膚科
急変患者が少なく、比較的予定通りに業務を進めやすいです。 - 精神科・心療内科
定期的なカウンセリングや治療が中心で、緊急性が比較的少ないです。 - 回復期リハビリテーション病棟
患者の状態が安定しており、計画的なリハビリが中心のため、残業が少なめです。
看護師として転職を考える前に
看護師として転職を考える前に、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。
- 自分のキャリア目標の明確化
あなたが看護師としてどのようなキャリアを望んでいるのかを明確にします。専門性を高めたいのか、ワークライフバランスを重視したいのか、それとも給与や福利厚生を優先したいのか、これらを自己分析することが大切です。 - 市場動向の理解
看護師の需要は地域や専門分野によって異なります。現在の職場と異なる分野への転職を考えている場合は、その分野の需要や求人の状況を調査しましょう。 - 勤務条件の比較
残業時間、勤務形態、給与、福利厚生など、転職先の条件を現在の職場と比較してみてください。また、職場の文化や雰囲気も重要な要素です。可能であれば、実際に職場を訪問し、現在勤務しているスタッフからの意見も聞いてみましょう。 - スキルアップと資格の見直し
転職市場で競争力を高めるために、必要なスキルや資格を取得することも検討してください。特に専門性の高い分野への転職を考えている場合は、その分野に特化した追加の資格や研修が有益です。
転職は大きな決断です。自分のキャリアとライフスタイルに合った、最適な職場を見つけるために、十分な時間をかけて慎重に検討することが重要です。
転職って本当に大変だよね。全部考えてもまだ足りない気がする。
【看護師の残業】なぜ多い?のまとめ
看護師としての転職を検討する際には、いくつかの重要なポイントをまとめると以下の通りです。
- 残業時間の理解と対策
看護師の残業が多い理由を理解し、自身の働き方と照らし合わせてみましょう。残業が多い科と少ない科の知識を持つことで、自分に合った勤務環境を見極めることができます。 - キャリア目標の再確認
自身のキャリア目標を見直し、それに沿った転職活動を行うことが重要です。専門性を高めたい、ワークライフバランスを重視したい、給与や福利厚生を優先したいなど、目指すべき方向性を明確にします。 - 勤務条件の詳細な比較
給与、勤務時間、残業の有無、福利厚生など、転職先の勤務条件を現在の職場と比較して評価します。また、職場環境や文化も重要な要素です。 - スキルアップと資格の取得
競争力を高めるために、追加のスキルや資格取得を検討することも有効です。特に専門性の高い分野への転職を考えている場合、関連資格が役立ちます。
看護師として転職を考える時、これらの情報は大切です。自分の目指すキャリア、仕事の市場の動き、仕事の条件を比べること、スキルを上げたり資格を取ることが、転職で成功するために重要です。看護師の仕事は残業が多いので、これらのことを全部考えて、自分に合う職場を探しましょう。